北欧「スウェーデン」の赤い家をお手本にした外観づくりのコツ

北欧「スウェーデン」の赤い家をお手本にした外観づくりのコツ

自然に囲まれた環境に美しく映えるスウェーデンの伝統的な赤い家。その佇まいは、童話の世界から飛び出したような愛らしさに溢れています。

赤い外壁は日本ではあまり馴染みがないように思われるかもしれませんが、実は日本の住宅と赤い外壁は相性がよく、デザインのポイントを押さえればスウェーデンスの雰囲気いっぱいの住まいづくりができます。今回は、赤い外壁の魅力や、スウェーデンの赤い家をお手本にした日本の風景に調和する外観づくりのコツをご紹介します。

目次

他の色にはない赤い外壁の魅力とは

北欧「スウェーデン」の赤い家をお手本にした外観づくりのコツ
冬の雪景色だけではなく、爽やかな夏の海にも赤い外壁は美しく映えます。

赤色の外壁と聞くと、派手・目立つといった外壁に向いていない印象を受ける人が多いかもしれませんが、赤レンガの家と聞くと、落ち着きのある優美な洋館をイメージするのではないでしょうか。

一口に赤い外壁といっても、ワイン系・ピンク系・オレンジ系など幅広い色味があり、塗装・レンガ・サイディングといった素材による違いや、マット・艶ありといった質感によっても与える印象は大きく変わります。赤色は、色選びや配色次第で、他の色にはない個性やよりおしゃれ感を高めた外観を表現できる色なのです。

スウェーデンの赤い外壁の秘密

スウェーデンのダーラナ地方にあるファールンは、かつて世界最大の銅鉱山として栄えていました。どころが、1687年の大規模な崩落によって銅産業は衰退。経済的に苦しくなったことで、家の外壁を安く塗装する必要がありました。そこで、銅鉱山から産出された鉱物の副産物を顔料として使い、木材に塗装したのが赤い外壁のはじまりといわれています。

北欧「スウェーデン」の赤い家をお手本にした外観づくりのコツ
防腐効果が高く耐久性のあるファールンレッドは、フェンスや家具などにも使われるほど人々の生活に浸透していました。

赤色の主成分は酸化第二鉄。「ファールンレッド」と呼ばれ、レンガ造りの建物を彷彿とさせる色として人々を魅了しました。ファールンレッドは日本での弁柄(ベンガラ)にあたります。日差しの影響をほとんど受けないため何回も塗り直す必要がなく、高い防腐性で北欧の厳しい自然環境から家を守ってくれる効果があるのです。

現代は、耐久性が高く色褪せしにくい樹脂製のサイディングが外壁材として多く使われるようになりました。既存の外壁の上から重ね張りできるという手軽さで、外観に新たな魅力を吹き込んでいます。

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一般的な赤い塗料は褪色しやすく経年劣化で古さが目立ってしまいますが、樹脂サイディングで仕上げれば綺麗な色が長持ちします。 (写真提供/royal building products)

赤い外壁を取り入れて魅力的な外観づくりをしよう!

スウェーデンの家の特徴といえば、大きな三角屋根と全体的に直線的でシンプルなデザイン。日本の家とも共通している部分があります。そのため、日本の住宅と赤い外壁は相性がよく、2つを組み合わせることで北欧スタイルの外観づくりが叶います。

ここでは、赤い色を活かしてセンスのよい外観をつくるポイントをご紹介していきます。ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。

控えめトーンの赤を選ぶ

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落ち着いた色味を選ぶのが赤い家を上質に見せるポイント。赤い外壁はオレンジやブラウン系のレンガとの相性も抜群です。

外壁に赤色を取り入れる場合、茶色がかったブラウンレッドや黒みを帯びた深い色合いのえんじ色といった、落ち着いたトーンの色味を選ぶのがポイントです。モダンで重厚感のある雰囲気を演出でき、北欧の建物を思わせる魅力的な外観に仕上がります。

明るい色は、面積が大きくなるほどより鮮やかで明るく見え、反対に暗い色は面積が大きくなるほど一層暗く見えるという特徴があります。色見本で丁度良いと思った色を外壁に使用したら想像と違っていたというケースがよくあるため、色選びで迷ったら、明るい色はワントーン下げて暗い色はワントーン上げたものを選ぶようにしましょう。

グレイッシュカラーと組み合わせる

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ツートンカラーの外壁は、どちらの色を多く使うかで家の印象が変わります。赤色の面積が多くなると明るく可愛らしい雰囲気に、グレイッシュカラーが多くなると穏やかで赤が引き立つ外観に。

赤い外壁は、彩度を抑えた落ち着きのあるグレイッシュカラーとよく合います。建物の正面や1階部分、玄関まわりというように、部分的に赤を使って全体を2色でまとめると、効果的に赤色が映える外観づくりができます。

外壁以外を白でまとめる

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玄関ポーチやアプローチの階段など、白を多く取り入れると爽やかな印象に仕上がります。

スウェーデンの家に多く見られる定番スタイルを参考にして、赤いサイディングの外壁に窓枠や破風板などを白でまとめてコーディネートすると、上品で温かみのある外観に仕上がります。全体的に白の面積を増やし、外壁やエクステリアなどにも白を取り入れて爽やかな印象を高めるのも素敵です。

ナチュラルテイストを加える

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木目の風合いが表現された赤いサイディングに石積みを合わせた、重厚でおしゃれな外観。ウッドチェアとのカラーコーディネートにセンスが光ります。 (写真提供/royal building products)

赤い外壁は木や自然石といった天然素材との相性がよく、このようにラフな雰囲気の自然石と合わせると外壁の表情はグッと豊かになり、重厚感もプラスされて上質感漂う外観に。屋外空間にもこだわってヴィンテージテイストのウッドデッキを設ければ、トレンド感の高いおしゃれな家に仕上がります。

お手本にしたい!赤い樹脂サイディングの住宅事例

スウェーデンの赤い家のように愛らしい住まいは、樹脂サイディングを取り入れることで日本の住宅でも実現できます。

北欧「スウェーデン」の赤い家をお手本にした外観づくりのコツ
樹脂サイディングは、配色だけでなく横張りや縦張りといった張り方の組み合わせによっても印象を変えられるのが魅力。
(写真提供/royal building products)

こちらは、赤をメインカラーとして一部にグレーのサイディングを取り入れた住宅事例です。2階部分が張り出しているなど、上部がデザイン的に重たく感じてしまうような場合には、明るい色や淡い色を差し込むと軽やかな印象をプラスできます。また、窓を多く配置すると白い窓枠のアクセント効果が高まり、外観をより明るい印象に仕上げることができます。

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赤い樹脂サイディングと自然石、白い格子窓のコンビネーションがおしゃれな住まい。使用する素材や色数が増える場合は、上下階の窓のサイズや配置を揃えてできるだけシンプルに構成すると、スッキリ見えます。
(写真提供/royal building products)

こちらは、1階部分の外壁や柱を自然な風合いの石張りで仕上げた住宅事例です。赤茶系の自然石が赤い外壁とよく馴染み。温かみのある雰囲気を醸し出しています。屋根をダークカラーにすると赤い外壁が美しく映えて落ち着いた印象に。重厚感も高まります。

赤色の外壁は、色味や合わせる色、自然素材との組み合わせといったポイントを押さえて取り入れることで、日本の街並みや風景に合うおしゃれな家づくりを叶えてくれます。他にはない個性を出したい、スウェーデンの家のように魅力的な外観にしたいと思ったら、ぜひ赤い外壁を選んでみてはいかがでしょうか。

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著者情報

神谷三理砂のアバター 神谷三理砂 ライター/一級建築士

建設会社にて意匠設計を担当。アメリカでジュエリー制作やアートを学び、独立後は住宅兼カフェの設計や装飾品のデザインを手掛ける。現在は、おもに住宅や暮らしに関する執筆を行っています。

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