家は完成した時からがスタートです。快適に暮らし続け、家を長持ちさせるためには適切なメンテンナンスが欠かせません。今回は、築年別の家の劣化事例と、それぞれに必要なリフォーム、費用を節約するコツをご紹介します。
完成した瞬間から家の劣化がスタート?材料と環境で変わるメンテナンスの時期
家は完成した時がゴールではなく、そこから維持管理という新たなスタートを切ります。家は様々な素材や工法で作られていて、それぞれに寿命が異なります。また太陽光の当たり具合や塩害の有無など、環境によっても劣化のスピードは変わります。
家の寿命は長いものです。健康な状態で長く維持し続けるためには、どんな材料であってもタイミングよく、適切なメンテナンスを行うことが欠かせません。
そうは言っても、どの程度劣化しているのか、メンテナンスが必要なのかといった判断は、見た目だけでは分からないことが多く、また繰り返し費用が掛かってもったいないと感じる人もいることでしょう。
しかしだからと言って放置をしてしまえば、劣化が進んで腐食が拡大し、大掛かりな修繕のリフォームが必要になったり、家の寿命が短くなってしまったり。かえって損をしてしまうことが少なくないのです。
そこで知っておきたいのが、「家のメンテナンスサイクル」という考え方です。家を健全な状態で維持するためのメンテナンスは大きく分けて、10年サイクルのものと20年サイクルのものがあり、それぞれの時期にまとめて工事をすることで、効率よく家を維持し続けることができるようになります。
築10年での劣化事例。選んだ材料でリフォーム内容が大きく変わる
築10年で見られる劣化事例と、必要なメンテナンスのリフォームをご紹介します。比較的小規模なものが多いのですが、最初に選んだ材料によっては、この時期に大きな工事が必要になることがあります。
<築10年で見られる家の劣化の事例>
- 外壁の塗膜の劣化、汚れや藻の付着、ひび割れ
- 外部の木部、鉄部の腐食
- サイディングの目地の劣化、ひび割れ、縮み
- スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)の色褪せ、ひび割れ、欠け
- 屋上やベランダの防水の寿命
- シロアリの被害の始まり
- 給湯器、コンロ、換気扇、エアコンなどの故障、そろそろ寿命
- 網戸の破れや建て付け不良、サッシのカギのゆるみ、ドアのがたつき
- 水栓金具からの水の染み出し など
築10年では、室内に関しては軽微な調整が中心です。例えば、給湯器やコンロ、換気扇、エアコンなど機器類の寿命は10年~15年なので、これらはそろそろ交換のタイミングになります。
ここで大きな差が出るのが外壁です。塗装仕上げの場合、選んだ塗料によってはメンテナンスの時期なので、足場を架けて再塗装をする必要があります。
サイディングは、材料そのものは40年ほど長持ちするものが多いのですが、やはり選んだ材料により再塗装が必要な場合があります。またサイディングボードのすき間をシーリング材で埋めるタイプの製品の場合は、打ち替えの時期です。これらの工事には足場が必要です。
サイディングには様々な種類があり、素材によって再塗装が不要なもの、シーリングが露出しない構造にして劣化を遅らせているもの、そもそもシーリングが不要のものなどがあり、その場合は10年目のメンテナンスは不要です。
ただし、これらの劣化スピードは、家が建っている環境により異なります。10年目には、見た目に劣化が認められなくても、屋根も含めて家の全体的な点検を受け、必要な個所に補修を行っておくことが、家を長持ちさせる秘訣です。
築20年での劣化事例、選んだ材料でリフォーム内容が大きく変わる
築20年で見られる劣化事例と、必要なメンテナンスのリフォームをご紹介します。基本的に10年のサイクルでメンテナンスや交換が必要な部位は、20年目でも引き続き同じような工事が必要です。
<築20年で見られる家の劣化の事例>
- 外壁の塗膜の劣化、汚れや藻の付着、ひび割れ
- 外部の木部、鉄部の腐食
- サイディングの目地の劣化、ひび割れ、縮み
- ススレート屋根(コロニアル・カラーベスト)の色褪せ、ひび、大きな割れ、反り、板金の浮き
- 屋根瓦の乱れ、割れ、漆喰の剥離
- 雨どいのゆがみ、割れ
- 屋上やベランダの防水の寿命
- シロアリの被害による床下の腐食、中には柱の被害
- 給湯器、コンロ、換気扇、エアコンなどの故障、そろそろ寿命
- 網戸やサッシの建て付け不良、アルミサッシ表面の劣化、ドアのがたつき
- 水栓金具からの水の染み出し、開閉の不良
- 内装の傷や汚れ、カビ、割れ
- キッチンや浴室、トイレなど水まわりの劣化、汚れの加速 など
築20年になると、10年の段階では小さなメンテナンスで済んでいた部位も、そろそろ大掛かりな工事が必要になります。
この時点でも大きな差が出るのが外壁、そして屋根です。新築の際にメンテナンスのスパンが長い材料を選んであれば、20年目の段階でも大きなリフォームは不要です。ただし、点検と軽微なお手入れは定期的に行い、いつも良好な状態を維持しておくことが大切です。
またこの時期は、そろそろキッチンや浴室、洗面といった水まわりの劣化による設備の交換や、生活スタイルの変化による間取りの見直しなど、家の中の大掛かりなリフォームをするタイミングでもあります。
つまり築20年は、外まわりのメンテナンスと、家の中のリフォームが同時にやってくるタイミングだということ。そして、また次の10年に向けて、新たなスタートを切ります。
メンテナンス費用は積み立てを!材料選びも費用を節約する大切なコツ
注意をしたいのが、メンテナンスをさぼると、先々の負担がどんどん大きくなる可能性があることです。メンテナンスの時期なのにもかかわらず、放置をしてしまうと、劣化は急速に進行します。
建築物は、表面の劣化だけで済んでいるうちは工事がラクなのですが、劣化が内部まで進行してしまうと、部分的に解体する必要があったり、複数の業種が必要になったりと、多額の工事費用が掛かってしまうことが少なくないのです。
つまりメンテナンス費用を節約するコツは、早め早めに手を打つこと。我が家のメンテナンスサイクルを表にして、忘れずにタイミングよく工事をし、定期的に点検をしてもらうようにすれば安心です。
また、費用を節約するためには、高耐久でメンテナンスが楽な材料を選んでおくことも大切です。特に費用がかさむ屋根や外壁は、メンテナンスの頻度で、先々の出費が大きく変わりますのでしっかり選びましょう。
大切な我が家をお得に維持するためにも、メンテナンス計画を一度見直してみてくださいね。
我が家の外壁をコスパよく維持するための、材料や工法の選び方は下記でご紹介していますので、ご覧になってみてください。