家全体(丸ごと)リフォームで検討すべき外壁の役割とは

家全体を丸ごとリフォームする方法は、築年数の古い住宅を「新築」並みに改築できると注目されています。

30年ほど前に新築した住宅を丸ごとリフォームするケースもあれば、わざわざ古い中古住宅を購入して丸ごとリフォームする事例もあり、住宅街を歩いていると、いつのまにか新しくなった住宅を見つけることも多くなりました。

丸ごとリフォームでは外壁についても再塗装や張り替えなどが行われますが、リフォームを検討する段階で外壁リフォームをどのように行うのか、検討すべきポイントが実はあります。

ここでは外壁のリフォームに焦点をあて、家丸ごとリフォームの場合の外壁について解説します。

目次

「丸ごとリフォーム」と「部分リフォーム」の違い

一戸建て住宅のリフォームには家全体をリフォームする「丸ごとリフォーム」と、リフォームする範囲をある程度限定した「部分リフォーム」があります。
丸ごとリフォームと部分リフォームとでは工事の範囲が変わりますが、リフォームの目的が異なる場合が多いと言えます。

丸ごとリフォームの目的

家族構成の変化やライフスタイルの変化などにより間取りを変更するようなケースや、家全体の劣化がすすみ部分的なリフォームでは要求が満たされないケースでは丸ごとリフォームを行います。
内装や住宅設備が一新され、外壁や屋根といった外装部分も塗装や張り替えなどが行われます。さらに構造上の耐力を強化する「耐震補強」を行うこともあります。耐震補強のほとんどは耐力壁の追加や強化になりますが、その最適なタイミングが丸ごとリフォームの時になるのです。

部分リフォームの目的

浴室やキッチンなど水廻りのリフォームや、外壁・屋根の塗装などが部分リフォームとしては多いメニューです。とくに外壁の張り替えやサイディングの重ね張りは、部分リフォームのメニューとして非常に多いものと言えるでしょう。

このような部分リフォームでは、住宅設備を更新して、使いやすや暮らしやすさを求める目的や、外壁の耐久性を高めることが大きな目的となっています。

丸ごとリフォームの注意点

丸ごとリフォームは建築基準法が定める「大規模な修繕・模様替え」に該当する場合が多く、着工前に建築確認申請が必要となります。計画が持ちあがった時には、建築士などに相談することをお勧めします。

丸ごとリフォームで重視する性能

丸ごとリフォームは耐震補強を行う最適なタイミングであると前章で述べましたが、木造住宅の耐震性能について、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

「新耐震基準」という言葉が住宅の性能を語るときよく使われます。中古住宅の購入に際し住宅ローンを借りた場合、住宅ローン控除の適用は新耐震基準に適合した住宅に限定されます。

新耐震基準は現代では最低限の耐震性能を表すものですが、2000年6月以降に建てられた住宅は、より耐震性能の優れた「2000年基準」になっています。

実は、新耐震基準の住宅と言っても、2000年基準前の住宅と2000年基準後の住宅とでは耐震性能に大きな違いがあり、新耐震基準で建てられた住宅であっても2000年基準前の住宅は、2000年基準に適合した耐震補強をするほうが望ましいのです。

2000年基準とは、昭和56年の新耐震基準の住宅にも大きな被害が生じた、平成7年
(1995年)の阪神淡路大震災の被害状況に基づき、2000年に強化された耐震基準を言います。

2000年基準に適合させるには壁材を剥がし、耐力壁の増加や柱と桁の金物接合など、大がかりな工事が必要になります。外壁の張り替えを行うリフォームでは、外側から耐力面材を張る方法も耐震強度を高める方法であり、丸ごとリフォームではぜひ採り入れたい補強方法と言えるでしょう。

さらに、丸ごとリフォームでは、もうひとつ重視したいポイントがあります。
リフォームした後20~30年は大きなリフォームが必要にならないよう、間取りなど生活空間の検討に時間をかけ、ライフスタイルの変化に対応できる計画が重要です。

外壁に必要な性能とは?

丸ごとリフォームでは外壁に関わる工事費用は大きなウェイトになります。塗装で済ます場合であっても、足場工事などを含めると100万円を超えるのが一般的です。外壁の張り替えや重ね張りでは費用はさらに大きくなります。

外壁にはどのような役割があり、その役割を担うために必要な外壁の性能とはどのようなものなのでしょう?

住宅は人が生活し豊かな人生を送るための「器」などと言われますが、持ち家の場合には重要な資産にもなります。「資産」という視点で考えると、資産価値を長く維持するためには適切なメンテナンスが必要です。

現在、住宅は新築時に「10年保証」が義務づけられており、ハウスメーカーによっては20年、30年保証を謳うケースもあります。さらに、住宅ローンの50年返済という商品が
登場したように、住宅の寿命は以前に比べて非常に長いことがあたり前になっています。

住宅の長寿命を実現するのが構造的な安全性であり、地震の多い日本においては「耐震性能」がもっとも重要です。耐震性能に大きく関わるのが「耐力壁」であり、そのほとんどが住宅の外回りにある「壁」つまり外壁の性能に関わっているのです。

耐力壁は壁の内部にある骨組み(土台・柱・桁・耐力面材など)により構成されますが、木造住宅はこれらの骨組みがすべて木材になっています。木材は水や湿気に弱く、木材に含まれる水分の量が多くなると腐れにより強度を失ってしまいます。

耐力壁の一番外側にある外壁材は、木材の弱点である「水(雨や湿気)」から骨組みを守る重要な役割を担っています。外壁材に生じる、剥がれ、欠損、ひび割れ、変色、腐れ、といった劣化は、住宅の耐久性を低下させる大きな原因になっているのです。

このような住宅の耐久性を低下させる原因をなくすため、適切な外壁のリフォームやメンテナンスは欠かせません。また外壁リフォームをする場合には、より耐久性が高まる次のような点に注意することが重要になります。

  • 張り替えや重ね張りをする場合は、外壁の重量が負担にならないよう、できるだけ軽量にする
  • 耐候性の高い材料を選び劣化しにくく長持ちする外壁材を選択する

丸ごとリフォームでは維持修繕の範囲に納める傾向が強くある

丸ごとリフォームは工事範囲が広いため、新築に近い工事費用になることもあります。またリフォームを決断する動機として、水回りの一新や、家族が増えたことによる間取りの変更などが多く、大きな目的として「外壁リフォーム」はあまり意識されていないケースが多いものです。

とくに丸ごとリフォームの工事費用を「定額制」で行っている場合は、外壁リフォームに大きな費用を配分すると、他のリフォームに回す費用が不足してしまいます。そのため、外壁リフォームには必要最低限の費用配分を行うことが多いと言えるでしょう。

つまり、丸ごとリフォームでは維持修繕の範囲に納める傾向が強くあるため、外壁のリフォームは塗装が標準仕様となり、サイディングの張り替えや重ね張りは「オプション工事」として扱われるようになっています。

そのため、仮にサイディングの重ね張りを希望していても、営業マンからは工事費が膨らんでしまうので「塗装が最適」と説得されてしまうことが多いのです。

丸ごとリフォームでおすすめの樹脂サイディング(ゼオンサイディング®)

住宅の丸ごとリフォームで、外壁の塗装が最適な選択肢とは言い切れません。再塗装は既存の外壁に劣化や不具合の無いことが前提です。

仮に劣化した部分があるにも拘わらず再塗装で済ました場合、既存外壁の劣化がすすみ次の再塗装の時には、大部分の外壁を修繕した上で塗装することになる可能性があります。

「こんなことになるなら、あの時、サイディングのリフォームをしておけば良かった」などと、後悔することも考えられます。丸ごとリフォームの時、もし予算的に可能であれば塗装ではなく、張り替えや重ね張りの外壁リフォームを検討するほうがベターな選択となるでしょう。

外壁リフォームでは、張り替えよりも費用が抑えられる「重ね張り」が賢い方法です。重ね張りに適したサイディングと言えば「樹脂サイディング」をあげることができます。

日本の樹脂サイディングといえばゼオンサイディング®。

ゼオンサイディング®は塩化ビニル樹脂を主な原料とし、素材自体に顔料が練りこまれている商品が主流で、洗練された色味とその風合いは、長期間使用しても色が剥げたり色落ちし難いので、外観の美しさを長く保つことができると思います。
また、凍害、塩害、錆、酸性雨の心配とは無縁で、施工の際にシーリングをほぼ使用しないことからも、メンテナンスの手間とコストを大きく抑えることができます。

耐衝撃性にも優れており、また他素材のサイディングよりも非常に軽いため、柱や建物の構造に与える負担を軽減でき、地震などの際に建物に被害が及びにくいと言えます。
そしてゼオンサイディング®通気性の高いオープンジョイント工法を採用しています。

日本家屋の伝統的な外装は、無垢板を横張りにして押縁などで押さえる下見板張りが多く見られました。オープンジョイント工法は、雨仕舞に優れ、シーリングを使用しない点が最大の利点であるといえます。日本の気候風土に適したこの伝統工法を現代に生かしたのがオープンジョイント工法なのです。シーリング材を使用しないため、すべての役物と本体の間から空気が流入でき通気性を保つことができるのです。

丸ごとリフォームにおいての外装材には、ぜひ樹脂サイディング(ゼオンサイディング®)をご検討ください。

  • URLをコピーしました!

著者情報

弘中 純一のアバター 弘中 純一 一級建築士事務所アルド住宅研究所

一戸建てハウジング事業開発、マンション内装プレファブ工法の技術開発などを経て建築士事務所を開設。新築住宅・リフォームの設計・施工業務の後、住まいに関するコンサルティングをメインに活動。現在は、各種Webサイトにおいて住宅・不動産に関する記事の執筆と、ホームページにて情報発信や住宅に関する無料相談を受けている。

目次